
京都の夏は暑い、というのが有名です。実際、35度以上を記録する日数で言えば、日本でもトップを争うほど。出歩く足も鈍りがちですね。
けれど、そんなに暑い京都だからこそ、涼みつつ夏を楽しめるイベントも盛りだくさん。目から、舌から涼を取り込んだり、思い切り冷たいものに触れてみたり。五感で楽しめる京都の夏をご紹介します。
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床・川床

京都の夏の風物詩もいわれる「床」。鴨川の上にテラスを張り出して、その上でお食事をいただく趣向です。エアコンはないのですが、その代わりに川の上を渡る風を感じたり水の流れる音に耳を傾けたりと、五感から涼を楽しむことができます。
一口に、床、と言っても、二種類あるのはご存知でしょうか。
一つ目は、三条から五条にかけて鴨川の西岸にかけられる「ゆか」。この辺りは阪急と京阪の駅が近く、京都でも特ににぎわうエリアです。有名なお店の床が連なり、和食はもちろん、フレンチや、最近ではラーメンチェーンなど、様々な味を楽しむことができます。値段も手軽なものから、高級料理まで選択の幅が広いです。
夜になると提灯が灯され、橙色の明かりが川面に映って、格別の雰囲気を作り出してくれるので特におすすめです。
もう一つは、『京の奥座敷』ともいわれる貴船で、高野川の上にかけられる「川床(かわどこ)」。高野川というのは、京都市東北部を流れており、一条付近で賀茂川と合流して鴨川になる川です。市内に比べて気温が低く、また周りを緑に囲まれているので、体感温度は市内より格段に涼しくなります。

料理は、目にも涼しい流しそうめんが有名。他にも水の中を泳ぎ回る姿を模した鮎焼きや、半透明の葛餅など、清涼感を演出したものが多いです。値段設定は少しお高めですが、人気は高く予約必須です。
「ゆか」と「かわどこ」、床という字を書くので間違われやすいのですが、「貴船は『奥座敷』にあるので床の間(とこのま)にちなんで「とこ」と読む」と考えると覚えやすいです。
床へのアクセス | 京都駅から | 市バス4、5、17、205、「四条河原町」下車、徒歩すぐ |
四条から | 徒歩すぐ | |
駐車場 | 無し。周辺に民間駐車場有 | |
期間 | 5月1日~9月30日(ランチは5月と9月のみ) | |
川床へのアクセス | 京都駅から | 地下鉄烏丸線「国際会館」駅下車、京都バス52に乗り換え、 「貴船口」で京都バス33に乗り換え、「貴船」下車 |
四条から | 京阪「出町柳」駅で叡山電鉄に乗り換え、「貴船口」駅下車、 京都バス33に乗り換え、「貴船」下車 | |
駐車場 | 店舗による | |
平均価格 | 初夏、初秋4,000円~、真夏10,000円~ | |
期間 | 5月1日~9月下旬 |
保津川下り

京都で涼を求めてアトラクティブに参加するなら、保津川下りがお勧め。
亀岡から嵐山へ向けての16kmの渓流を、木造の舟で下っていきます。
川は時に狭く、急流ともなり、両岸には山肌がそびえ、自然の力強さを間近にすることができます。そこを縫うように進む舟を操るのは、船頭さんの持つ一本の棒のみ。川底が段になっているところでは、大きな水しぶきの中を突き進んでいくこととなります。京都という雅なイメージとはかけ離れた雄々しい体験をしていただけるでしょう。
保津川の川下りは、もともとは丹波地方から木材を運ぶ水運のことを言い、古くは平安時代より昔、長岡京に都があったころから始まったと言われています。近年になって鉄道や道路が整備されるに伴い、水運業は廃れてしまったのですが、急流を行く舟の風情は人に惜しまれました。下る際の川沿いの風景も素晴らしく、観光用の保津川下りが始まったのでした。

利用料金 | 大人 4,100円 4歳~小学生 2,700円 貸切82,000円(平日のみ・17名) | |
所要時間 | 約2時間 | |
定員 | 24人 | |
アクセス | 京都駅から | JR嵯峨野線 「亀岡」駅下車、徒歩8分
JR嵯峨野線、「嵯峨嵐山」駅下車、トロッコ列車に乗り換えて「トロッコ亀岡」駅下車、京阪バスで「保津川下り乗船場前」下車、徒歩すぐ |
四条から | 阪急電車「桂」駅下車、京阪バスに乗り換え、「保津川下り乗船場前」下車、徒歩すぐ | |
駐車場 | 100台 | |
公式サイト | ようこそ保津川下りホームページへ | |
注意点 | 水しぶきがかかることがあります。ハンカチがあるといいですね。時に激しく揺れるので、心臓の弱い人は控えてください。 |
みたらい祭り

夏の盛り、土用の丑の日を挟んだ9日間(土曜~1週間後の日曜)、下鴨神社では「御手洗祭り」が行われます。別名、「足つけ神事」とも言われるお祭りで、下鴨神社の境内を流れる小川の中を歩くことができます。
平安時代から続けられてきたお祭りで、膝近くまである小川の中を、火のともったろうそくを持って歩き(5mくらい)、行き止まりのところで蝋燭を奉納するというもの。昔の暦では水無月6月の末にあたり、1年の真ん中に清浄な水でみそぎをして穢れを祓うために行われていました。
水の中を歩くというだけでも涼やかなのですが、特筆すべきはその水の冷たさ。境内からわく小川なのですが、夏でも冷蔵庫の中で冷やしたかのような温度なのです。ゆっくり浸かっていると、つま先がかじかんできますし、上がってからもしばらく冷たさが続きます。水から上がった後、正常な湧き水を飲ませていただけるコーナーもあるので、身体の中からも穢れが祓われます。
百人一首に「 風そよぐ ならの小川の 夕暮れは みそぎぞ夏の しるしなりける」という和歌があります。奈良県のことかと思われがちですが、実は「ならの小川」というのは上賀茂・下鴨境内を流れる小川のことを指しています。葵祭の時に斎王代がみそぎをしたり、この川の泡を模して『みたらし団子』が生まれたりと、有名な小川。ならの小川での「みそぎ」というのが、このみたらい祭りであり、風がそよぐ心地よい夕暮れだけれど、みたらい祭りが行われていてまだまだ夏なのだなぁ、と詠われているのです。実際、お祭りが終わって10日ほど経てば立秋となるので、夏の最後を楽しむお祭りだと思われていたのでしょう(現代では、8月になってもまだまだ夏の盛りですけどね)。

なお、こちらのお祭りは早朝5時半!から、夜10時まで行われています。お昼以降は屋台も出てにぎわい、特に、夜ともなると、境内の中を何百もの人が行列を作ることになります。屋台を食べ歩くのが楽しかったり蝋燭の光が幻想的だったりして、日常とはとてもかけ離れた空気を楽しむことができますが、混雑や行列の苦手な方には午前中に参加されることをお勧めします。早朝は空気もすがすがしく、深呼吸をすると身体の中まで清涼感を味わうことができます。

利用料金 | お灯明料300円 | |
所要時間 | 10分(境内の混雑によっては、神社に入ってから出るまでに数時間かかることもあります) | |
アクセス | 京都駅から | 市バス4、205、「下鴨神社前」下車、徒歩すぐ
糺の森の屋台を楽しむなら「新葵橋」で下車 |
四条から | 市バス4、205、「下鴨神社前」下車、徒歩すぐ
京阪電車「出町柳駅」下車、徒歩10分で糺の森前に到着 |
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駐車場 | 150台(有料) | |
期間 | 土用の丑の日の前の土曜から9日間 | |
公式サイト | 世界遺産 下鴨神社 | |
注意点 | 膝まで濡れるので、半ズボンやたくし上げられる服装がお勧め。浴衣のお客様も多いですが、思い切りたくし上げるつもりで着てください。足を拭くタオルやハンカチを忘れないようにしましょう。細くて火のついた蝋燭を持つので火傷に気を付けて。水は本当に冷たいので、身体が弱い人や心臓の弱い人は控えてください。 |
まとめ
暑い京都だからこそのお楽しみを、三つ、紹介いたしました。 京都らしさを感じる雅なお楽しみがあれば、一方、勇壮な楽しみ方もあります。京都にはいろんな魅力が詰まっているんですね。
是非、夏の京都へ遊びに来て、灼熱の中での涼やかなひと時を楽しんでみてくださいね。
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