
「アメリカ旅行」と言えば、買い物やレジャー施設などを目的に都市へ向かうことが多いと思います。しかし、日本に魅力的な自然があるように、アメリカにも日本と趣の違う雄大な自然が多くあります。大自然を堪能してみたいあなたに、アメリカの魅力的な国立公園を16か所紹介します。
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1.アメリカの有名な国立公園
1.イエローストーン国立公園

ワイオミング州北西部を中心に、アイダホ州・モンタナ州にまたがる総面積8980㎢の、数少ない手つかずの自然が残る巨大温帯生態系の一つ(イエローストーン圏生態系)で自然と動物の宝庫です。1872年に世界初の国立公園に指定され、1978年世界遺産(自然遺産)第1号に登録されたアメリカで最も人気のある国立公園です。
イエローストーン最大の特徴は、数㎞下にマグマ溜まりがあることで起こる間欠泉・温泉・噴気孔等1万を超える熱水現象です。間欠泉「オールド・フェイスフル」は約80分ごと、約4万ℓの熱水が高さ40mまで噴き上がり、その様子は圧巻です。
直径113mの温泉「グランドプリズマティッグスプリング」。中心は高温でコバルトブルー、外に向かうにつれ温度が下がり、そこに様々なバクテリアが繁殖することで白・黄・オレンジ・茶と変化し、淵は鮮やかな朱色と色の変化が美しい湖です。
2.ヨセミテ国立公園

カルフォルニア州中央部にある「地上の楽園」ともいわれる、人気の高い国立公園で、1890年国立公園に指定、1984年世界遺産(自然遺産)に登録されました。総面積3081㎢、氷河による侵食でできた渓谷や白い花崗岩の山々が見所です。ハイキングコースも整備されていますのでゆっくり歩いて自然の美を堪能するのもおすすめです。
ヨセミテが見渡せる「グレイシャーポイント」や、人工物が一切見えない「トンネル・ビュー」などの絶景ポイント、高さ約1㎞、ロッククライミングの聖地とも言われている「エル・キャピタン」、ヨセミテの象徴「ハーフドーム」などがぜひ押さえたい観光ポイントです。
3.グランド・キャニオン国立公園

アリゾナ州北西部に広がる総面積4931㎢の、壮大な地球の歴史と自然の驚異を見ることができる国立公園です。約4000万年前から大地をコロラド川が徐々に浸食して作り上げた景観はもっとも深い断崖で1800mを越え、最深部の地層は約25億年前の先カンブリア時代のものが露出しています。1919年国立公園指定、1979年世界遺産(自然遺産)登録。
グランド・キャニオンへ向かう玄関口は「サウスリム(南壁)」「ノースリム(北壁)」の2か所ありますが、アクセスがよくホテルやレストランなどがあって観光に便利な「サウスリム」がよいでしょう。
断崖絶壁の上に突き出して作られた強化ガラス製展望台「スカイウォーク」は人気のスポットです。他にも「リパンポイント」「グランドビューポイント」「マーサーポイント」など多くのビューポイントがあり、そこからしか見ることのできない絶景が堪能できます。また遊覧飛行やトレッキング・ラフティングなどのより絶景を楽しむツアーもおすすめです。
4.グレーシャー国立公園
モンタナ州北部、ロッキー山脈の真ん中にある総面積1401㎢の国立公園で、カナダの「ウォータートン・レイク国立公園」と国境を挟んで接しています。観光地化があまり進んでいない「最後の最良の地」とも呼ばれる自然の宝庫です。1910年国立公園指定、1995年世界遺産(自然遺産)登録。
グレーシャーの特色は氷河(Glacier)が造り出した美術館と言われるほどの美しい風景です。面積の大部分を森林・山・川・湖が占めており、公園内の自然はほとんど手つかずのまま保護されています。1000種類以上の植物と数百種類の動物が生息していて「大陸生態系の頂点」と言われている公園です。
5.グランド・ティートン国立公園

ワイオミング州西部、イエローストーン国立公園の南に隣接する総面積1255㎢、アメリカの国立公園の中でもっとも美しいと言われています。
1929年指定。標高4197mのグランドティートンを中心に標高3600mを越える12の山々で形成されるティートン連峰と、ジャクソンレイクなど7つの湖、その近くをスネークリバーがゆったり流れる美しい風景が広がります。
ジャクソンレイクから遊覧船に乗って見るティートン連峰は絶景です。また湖の周りにはハイキングコースも整備されており、山並みを眺めながらの乗馬やハイキングが楽しむことができます。スネークリバーでのラフティングもおすすめです。レストランやバーがありますので、食事などを楽しみながら大自然を堪能することもできます。
6.ザイオン国立公園

ユタ州にある総面積593㎢のグランド・キャニオンに次ぐ人気の国立公園です。「水によって創造された壮大な彫刻」「ザイオンのすべては水による芸術」と言われる自然が造り出した絶景がポイントです。高さ2000mを越える巨岩を相手にロッククライミングをしている人が多く、上級者向けの場所として人気があります。1919年指定。
ザイオンは巨石の迫力だけでなく、ロッキー山脈からの雪解け水が木々を育て、野鳥やオグロジカ、アメリカライオンなど多くの動物たちが暮らす姿を見ることができます。荒々しい自然の造形美と多くの動物達の命を育む大地、このふたつの調和が見どころです。
7.ブライス・キャニオン国立公園

ユタ州南部にある総面積145㎢、1928年に指定された国立公園です。氷と雨と風の浸食によって作られたカラフルな土柱は、近くにあるザイオンともグランド・キャニオンとも違った風景を見せてくれます。
標高差650mのブライス渓谷には多くのビューポイントがあります。「サンライズ・ポイント」は文字通り朝日が美しいポイントで、風のある日は土柱を風が轟音を立てながら吹き抜けていきます。反対側に「サンセット・ポイント」があります。
「インスピレーション・ポイント」はブライス・キャニオンの中心にあるビューポイントで、さらに高い所にある「アッパーインスピレーション・ポイント」から見る夕日は、オレンジ色の土柱を赤く染めた印象深い風景です。また月明かりに照らされたブライス・キャニオンも幻想的な美しさです。街明かりが少ないため、星空観察も行われています。
8.セコイア国立公園

カルフォルニア州、シエラネバダ山脈の南部の東側にある巨大セコイヤの群生林で有名な国立公園です。総面積1635㎢、1890年指定。隣接する「キングス・キャニオン国立公園」と一緒に管理されているため「セコイヤ・キングスキャニオン国立公園」と呼ばれることもあります。
セコイヤの木々が密集していて、また北米最高峰(アラスカを除く)4421mのホイットニー山があり、公園内に約4000mの高低差があるため、キツネ・ボブキャット・ヘラジカなどや高山植物など豊かな生態系を持っています。
なんといってもセコイア一番のみどころは、ジャイアントフォレスト・エリアにあるセコイヤの大木「シャーマン将軍の木」でしょう。根元周1.3m、樹高83.8m、樹齢推定2000~2700年と言われており、アメリカの平均的な家が30軒建てられると言われています。倒れたセコイアの巨木に大穴を開けて車が通れるようにした「トンネル・ログ」も有名です。
9.ロッキー・マウンテン国立公園

コロラド州北部、ロッキー山脈内にある標高4399mのエルバート山を中心に3000~4000mの山並みが続く手つかずの自然が残されている公園です。総面積1075㎢の中でステップ気候(砂漠)からツンドラ気候(寒帯)までの自然環境を体感することができます。1915年指定。
「トレイン・リッジ・ロード」は公園内を東西に通る唯一の道路で標高3713mの地点を通っています。冬は閉鎖されますが真夏でも万年雪を見ることができ、道路沿いからは森林や草原など多くの自然を見ることができます。また園内の散策もおすすめで、エルクや運がよければビッグ・ホーン・シープやマーモットなど様々な野生動物に出会えるかもしれません。
10.マウント・レーニア国立公園
ワシントン州にある総面積953㎢、カスケード山脈の最高峰レーニア山(4392m)を含む谷や滝・亜高山帯植物の草原・原生林・氷河がある豊かな自然環境を有した公園で、園内のほとんどが自然環境保護地域に指定されています。1899年指定。
レーニア山周辺には多くの氷河があり、「エモンス氷河」はアメリカ本土最大、「カーボン氷河」は体積がアメリカ本土最大、そして舌端が標高1067mと最も低い所にある氷河です。
1800m以上に氷河があるため、登山には高難度の山ですが、周辺はトレッキングやハイキングの観光客で賑わっています。7~8月の高山植物の花が咲く頃や9~10月の紅葉の頃がおすすめです。
11.アンテロープキャニオン

アリゾナ州にある保護区で、先住民族ナバホ族の居留地にあるスロットキャニオン(幅の狭い峡谷)です。砂岩が鉄砲水や風雨によって狭く深く浸食されることによってできた渓谷で、現在でも鉄砲水が発生するたびに渓谷を削り、地形を変化させています。アンテロープキャニオンは「アッパー」「ロウワー」の2か所に分かれています。
「アッパーアンテロープキャニオン」は「ビーム」と呼ばれるキャニオン頂上開口部から射し込む直射日光がキャニオンを幻想的に照らし出す絶景を見ることができます。この風景は曇りの日はもとより、冬季(10/8~3/14)も太陽の南中位置が低いため見ることができません。ここを観光するにはナバホ族の管理するツアーに参加する必要があります。
「ロウワーアンテロープキャニオン」はビームを見ることはできませんが、薄暗い神秘的な空間を体感することができます。「アッパー」より空間が狭く長いため、美しい写真が撮れると人気があります。こちらは自由に観光することができます。
12.モニュメントバレー・ナバホ・トライバル・公園

ユタ州南部からアリゾナ州北部にかけての地域一帯を指していて、先住民族ナバホ族が管理運営している西部らしい風景が広がる公園です。「メサ」と呼ばれるテーブル状の台地や、浸食が進んで細くなった「ビュート」と呼ばれる岩山が点在していて、それらが「モニュメント(記念碑)」のように見えることからこの名前で呼ばれるようになりました。
モニュメントバレーは多くの映画の舞台として登場していて、特にジョン・フォード監督が撮影に使った場所は現在「ジョン・フォード・ポイント」という展望ポイントになっています。また個人の車で走れる唯一のコースである1周約27kmの「バレー・ドライブ」を走って絶景ポイントを巡るのもおすすめです。
13.アーチーズ国立公園

ユタ州にある総面積309㎢の2000以上の自然にできた砂岩のアーチが人々を魅了する公園です。美しいアーチですが日々浸食が進んでいて、1970年以降42のアーチが崩れました。年間降水量250㎜ですが野生動物は意外に多く、シカ、マウンテン・ライオン、トカゲなどの他、乾燥した種子からの水分だけで生きるカンガルーやラットが生息しています。1971年指定。
「デリケートアーチ」は世界的に有名な美しいアーチです。「ランドスケープアーチ」は公園内最大のアーチで全長は90mを越えています。アーチではありませんが「バランスロック」は岩の頂上に岩石が微妙なバランスで乗っています。
14.ウォータートン・グレイシャー国際平和公園

世界唯一の「国際平和公園」として、国境を接しているアメリカ合衆国モンタナ州の「グレーシャー国立公園」とカナダアルバータ州の「ウォータートン・レイク国立公園」を合わせて1932年に指定されました。1995年世界遺産(自然遺産)登録。
3000m級の山が連なるロッキー山脈の真ん中にあり、200以上の氷河湖と広大な森林からなる総面積4580㎢の公園です。夏期の約3ヵ月半だけ公開されていて、ムースやエルク、グリズリー等の野生動物が生息し、高山植物が咲き乱れる様子を見ることができます。
カナダ側の「ウォータートン・レイク国立公園」は「山脈が大平原に出会うところ」というキャッチフレーズが表わすとおり、高山・森林・草地・湿地それぞれの自然美を公園内で楽しむことができます。
15.デスバレー国立公園

カルフォルニア州とネバダ州のシエラネバダ山脈東部にある国立公園の中で最大で総面積13158㎢を持つ、非常に暑く乾燥した公園です。また標高差も大きく海抜下86mの砂漠~標高3368mの高山まで、平面的にも立体的にも広大です。1994年指定。
西半球で最も低い海抜下86mにある「バッドウォーター」はもともと塩湖だった湖が蒸発してできた真っ白い砂漠で、最高気温57℃を記録したまさに灼熱地獄です。また「アーティストパレット」は青・赤・緑など色とりどりの岩が林立していて、岩の色の鮮やかさ・美しさは大自然の不思議といえます。
しかし、デスバレー最大のみどころは「何もない風景」です。物だけでなく、音も匂いも気配もない。そんな「無」の空間の中にある灼熱地獄がデスバレーなのです。
16.ビッグ・ベンド国立公園

テキサス州にある、総面積3242㎢、リオグランデ川を挟んでメキシコの接する国境地帯にある国立公園です。1944年に国立公園に指定された面積は2番目に大きく、観光客は3番目に少ない豊かな自然を満喫できる公園です。
ビッグ・ベンドの特徴は、多くのトレッキングコースが用意されていて、その一つ一つのコースでビューポイントや珍しい植物に番号が付けられ、パンフレットにその説明が載せられていることです。ここまで丁寧に整備された国立公園はあまりありません。リオグランデ川ではカヌーやカヤックを楽しむことができます。
2.アメリカの国立公園の基本情報
1.国立公園の目的

開発や動物の乱獲などから貴重な自然を守るため1916年に「国立公園実施法」が制定され、これにより国立公園は管理されるようになりました。国立公園制度は「風景・自然・史跡および野生動物を保護すること」を目的としており、貴重な自然環境については自然の掟に従い、極力人の手を加えないでそのまま保存しておくという考え方が基本となっています。
生態系に影響を与えないよう、観光目的の道路・ロッジ・キャビン・キャンプ場・商店など最低限の施設のみが設置されています。この制度は国立公園の他に歴史文化遺産なども保護されていて、全54の国立公園と多くの国立史跡公園やナショナルモニュメント(国立記念碑)など20種類、374か所が指定され、国立公園局(NPS)が管理・保護しています。
2.野生動物

「イエローストーン国立公園」では、他の国立公園と比べてより身近に野生動物を見ることができます。バイソン、ハクトウ鷲、グリズリー、ブラック・ベアー、エルク、ブロング・ホーン、ミュールジカ、猿などが生息しています。また近くの「グランド・ティートン国立公園」でもバイソンやエルク、ブロング・ホーンなどを見ることができます。
「ザイオン国立公園」、「ロッキー・マウンテン国立公園」、「ウォータートン・グレイシャー国際平和公園」でも野生動物に出会うことができます。
3.植物
「セコイア国立公園」ではセコイアの巨木や高山植物の神秘的な森を、「マウント・レーニア国立公園」では木々の紅葉や高山植物の花々を堪能することができます。「ビッグ・ベンド国立公園」では珍しい植物に付いている番号を手掛かりにパンフレットで詳しい情報が分かるようになっています。
まとめ

心惹かれる国立公園は見つかりましたか。観光地化された公園や手つかずの自然を心ゆくまで堪能できる公園などいろいろなコンセプトの公園がありますので、見てみたい・体験してみたいことができる国立公園を見つけてぜひ足を運んでみて下さい。
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